歩くたびにズキッと痛む股関節や、座っているだけでも感じる足の付け根の重だるさ。何をしてもすっきりしないその不調に、お悩みではありませんか。実はそのつらい痛み、骨や筋肉だけの問題ではなく、股関節の近くにある「リンパ」の滞りが原因かもしれません。この記事では、股関節の痛みとリンパの関係性から、ご自身の症状が当てはまるかのチェックポイント、そして痛みを和らげるための簡単なストレッチやマッサージまで詳しく解説します。つらい股関節の痛みを根本から見直し、軽やかな毎日を取り戻すためのヒントがここにあります。
1. 股関節が痛いのはリンパの詰まりが原因かもしれない
股関節のズキズキとした痛みや、足の付け根に感じる重だるさ。歩いたり座ったりするたびに気になるその不調は、もしかすると骨や筋肉だけの問題ではないかもしれません。実は、私たちの体の中を巡る「リンパ」の流れが滞ることが、股関節周りの不調を引き起こす一因となることがあるのです。
リンパは、体内の老廃物や余分な水分を回収して運ぶ、いわば下水道のような役割を担っています。この流れがスムーズでなくなると、老廃物が溜まり、痛みやむくみ、冷えといった様々なサインとして体に現れます。特に股関節周りは、リンパの流れが滞りやすいポイント。長年悩まされている股関節の痛みが、リンパの流れを見直すことで楽になる可能性は十分に考えられます。
この章では、なぜ股関節の痛みがリンパと関係するのか、その仕組みと原因について詳しく掘り下げていきます。ご自身の生活習慣と照らし合わせながら、不調の根本にある原因を探ってみましょう。
1.1 股関節の痛みに関わる鼠径リンパ節とは
股関節の不調を理解する上で欠かせないのが、「鼠径(そけい)リンパ節」の存在です。鼠径リンパ節とは、ちょうど脚の付け根、ショーツのラインが当たるあたりに集まっているリンパ節のことを指します。
ここは、脚やお尻、下腹部といった下半身全体のリンパ液が集まってくる非常に重要な中継地点です。全身に網の目のように張り巡らされたリンパ管を通って運ばれてきた老廃物や余分な水分は、この鼠径リンパ節で一度ろ過され、きれいになってから体幹部へと送り返されます。
つまり、この鼠径リンパ節の流れが悪くなると、下半身全体のリンパ液が渋滞を起こしてしまいます。その結果、老廃物が溜まり、股関節周辺に直接的な痛みや重だるさ、圧迫感として現れたり、足のむくみや冷えといった症状を引き起こしたりするのです。
| 役割 | 具体的な働き |
|---|---|
| 老廃物の回収 | 細胞活動によって生じた不要な物質や疲労物質などを回収します。 |
| 水分の調整 | 血管から染み出た余分な水分を回収し、体内の水分バランスを保ちます。 |
| フィルター機能 | 体内に侵入した細菌やウイルスなどをせき止め、処理する免疫機能の一端を担います。 |
1.2 なぜ股関節周りのリンパは滞りやすいのか
下半身の健康の要ともいえる鼠径リンパ節ですが、実は私たちの日常生活の中に、その流れを滞らせてしまう原因が数多く潜んでいます。なぜ股関節周りのリンパは特に詰まりやすいのでしょうか。主な3つの原因を見ていきましょう。
1.2.1 長時間のデスクワークや座りっぱなし
現代の生活で最も大きな原因の一つが、長時間の座位姿勢です。デスクワークや車の運転などで長時間座り続けると、股関節が深く折り曲げられた状態が続きます。これにより、鼠径部が物理的に圧迫され、リンパ管や血管の流れが直接的に妨げられてしまうのです。
さらに、同じ姿勢が続くことで股関節周りの筋肉が硬直し、血行も悪化します。リンパの流れと血行は密接に関係しているため、この状態が慢性化すると、リンパの滞留が深刻化し、痛みや不調が定着しやすくなります。
1.2.2 運動不足による筋ポンプ作用の低下
リンパ液は、心臓のような強力なポンプ機能を持っていません。その代わりに、筋肉を動かすことで生まれる「筋ポンプ作用」によって、重力に逆らって全身を巡って-mark>います。筋肉が収縮したり緩んだりする動きが、リンパ管を刺激し、リンパ液を先へ先へと押し流すのです。
しかし、運動不足によって筋肉を動かす機会が減ると、この筋ポンプ作用が十分に働きません。特に、股関節周りやお尻、太ももといった大きな筋肉が活動しないと、下半身のリンパ液はどんどん滞ってしまいます。エレベーターばかり使っていたり、歩く習慣がなかったりすると、知らず知らずのうちにリンパの流れを悪化させている可能性があります。
1.2.3 体の冷えやストレス
「冷えは万病のもと」と言われるように、体の冷えはリンパの流れにも大きく影響します。体が冷えると血管が収縮して血行が悪くなりますが、それに伴いリンパの流れも著しく低下します。特に下半身は心臓から遠く、もともと冷えやすい部位。薄着や冷たい飲食物の摂りすぎは、巡りを悪化させ、股関節周りの不調を助長することにつながります。
また、意外と見過ごされがちなのが精神的なストレスです。強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、体は常に緊張状態になります。筋肉がこわばり、血管が収縮することで、血行もリンパの流れも悪化する悪循環に陥ってしまうのです。原因不明の股関節の痛みが、実はストレスに起因しているケースも少なくありません。
2. これはリンパが原因?股関節の痛みのサインと症状
股関節周りに感じる不快な痛みや違和感。もしかしたら、それは骨や筋肉だけの問題ではなく、リンパの流れが滞っているサインかもしれません。リンパが原因の場合、特有の症状が現れることがあります。ご自身の状態と照らし合わせながら、原因を探るヒントにしてみてください。
2.1 ズキズキする痛みや足の付け根の重だるさ
リンパの流れが悪くなると、老廃物や余分な水分が排出されにくくなります。これらが股関節の周り、特に鼠径リンパ節周辺に溜まると、神経をじわじわと圧迫したり、軽い炎症のような状態を引き起こしたりして、ズキズキとした鈍い痛みとして感じられることがあります。鋭い痛みというよりは、常に重苦しい感覚が続くのが特徴です。
また、「足の付け根がなんだか重たい」「だるくて足が上がりにくい」といった感覚も、リンパの滞留が原因で起こる代表的なサインです。これは、体液の循環がスムーズに行われず、下半身に水分が溜まってしまうために生じます。特に、長時間座りっぱなしだった後や、朝起きた時に症状を強く感じる方が多いようです。
2.2 足のむくみや冷えを伴うことも
股関節の痛みと合わせて、足のむくみや冷えを感じる場合、リンパの滞りが関係している可能性がより高まります。鼠径リンパ節は、脚全体のリンパ液が合流する重要な中継地点です。この部分の流れがブロックされると、下半身全体のリンパの流れが滞ってしまいます。
その結果、行き場を失った水分が細胞の間に溜まり、足のむくみとなって現れます。夕方になると靴がきつく感じたり、靴下の跡がくっきりと残ってなかなか消えなかったりするのは、その典型的な例です。さらに、リンパの流れの悪化は血行不良にもつながり、体の熱が足先まで届きにくくなるため、慢性的な冷えの原因にもなります。
このように、痛みだけでなく、むくみや冷えといった他のサインにも目を向けることが、ご自身の体の状態を正しく理解する上で非常に重要です。以下の表で、リンパの滞りが考えられるサインをまとめて確認してみましょう。
| 症状の種類 | 具体的なサインの例 |
|---|---|
| 痛み・違和感 | 足の付け根にズキズキとした鈍い痛みがある 股関節周りが常に重だるい 内側から圧迫されるような感覚がある |
| 見た目・感覚 | ふくらはぎや足首がむくんでいる 靴下の跡がくっきりと残る 足先がいつも冷たい |
| 症状が出やすい時 | デスクワークなど、長時間座った後に特に痛む 朝起きた時に足が重く、動き出しにくい 夕方になると症状が強まる傾向がある |
もし、これらのサインに複数当てはまるようであれば、股関節のリンパの流れが滞っているのかもしれません。次の章では、セルフケアを始める前に確認しておきたい注意点について解説します。
3. セルフケアの前に確認 危険な股関節の痛みと病院受診の目安
股関節周りの痛みや不調を感じると、「リンパが滞っているのかも」とセルフケアを試したくなるかもしれません。しかし、その痛みの中には、ご自身でケアする前に専門家へ相談すべきサインが隠れていることがあります。ストレッチやマッサージを始める前に、まずはご自身の症状が以下のケースに当てはまらないか、慎重に確認してみてください。安易な自己判断は、かえって症状を悪化させてしまう可能性も考えられます。
3.1 急に大きくなるしこりや強い痛みがある
股関節の付け根、いわゆる鼠径部にはリンパ節が集まっています。リンパ節は体の状態によって腫れることがありますが、その状態には注意が必要です。特に、これまでなかったしこりが急に現れたり、数週間で明らかに大きくなったりする場合は、単なるリンパの滞りとは異なる原因が考えられます。また、触ってみて石のように硬い、動かそうとしても動かないといった特徴があるしこりも注意深く観察してください。
痛みの強さも重要な判断基準です。安静にしていてもズキズキと痛む、夜も眠れないほどの激痛が続く、体重をかけると耐えがたい痛みを感じるといった場合は、無理にセルフケアを行うのは避けましょう。このような強い痛みは、体の内側で何らかの異常が起きているサインかもしれません。
3.2 熱感や赤みを伴う腫れがある
痛む部分を触ってみて、明らかに他の部位より熱く感じたり、鏡で見て赤く腫れ上がっていたりしないでしょうか。このような熱感や赤み、そして腫れは「炎症」が起きているサインです。細菌などが原因でリンパ節が炎症を起こしている可能性も考えられます。
炎症が起きている部位を温めたり、強くマッサージしたりすると、かえって症状を悪化させてしまう恐れがあります。もし股関節周りに明らかな熱っぽさや赤みが見られる場合は、ご自身で判断してケアを行うのではなく、まずは専門の機関に相談することをおすすめします。
3.3 股関節の痛みで受診するなら何科?
「この痛みはどこに相談すればいいのだろう」と悩まれる方も多いでしょう。股関節の痛みの原因は多岐にわたるため、症状に合わせて相談先を検討することが大切です。以下に症状別の相談先の目安をまとめました。
| このような症状の場合 | 相談を検討したい専門家の分野 |
|---|---|
| 転んだ、ぶつけたなど明らかなきっかけがあり、動かすと痛い。骨や関節に問題があるかもしれないと感じる場合。 | 体の骨格や筋肉、関節の構造に詳しく、レントゲンなどで状態を確認できる専門家がいる機関。 |
| 急に大きくなるしこりや、体の内側からの腫れが気になる場合。 | 体の内部の状態を詳しく検査できる設備を持つ機関。しこりの性質などを調べることもできます。 |
| 皮膚が赤く腫れて熱を持っている。感染症などが疑われる場合。 | 皮膚の状態や感染症について詳しい専門家がいる機関。 |
| 上記には当てはまらないが、長引く痛みや重だるさ、むくみなどを根本から見直したい場合。 | 体の歪みや筋肉のバランス、生活習慣など、全身の視点から不調の原因を探る施術所やサロン。 |
ご自身の症状がどのケースに近いかを確認し、適切な場所に相談することが、つらい症状からの回復への第一歩です。特に、これまで経験したことのない強い痛みや、急激な変化が見られる場合は、決して放置せずに専門家のアドバイスを求めるようにしてください。
4. 股関節のリンパの流れを改善する簡単セルフケア
股関節周りのズキズキとした痛みや重だるさは、リンパの流れが滞っているサインかもしれません。ここでは、ご自宅で手軽に始められるセルフケアの方法と、その効果を最大限に引き出すための大切なポイントをご紹介します。これからお伝えするストレッチやマッサージと合わせて実践することで、滞ったリンパの流れを促し、つらい症状の緩和を目指しましょう。日々の生活に少し取り入れるだけで、体は着実に変化していきます。
4.1 ケアの効果を高める3つのポイント
セルフケアは、ただやみくもに行うよりも、いくつかのポイントを押さえることでその効果が大きく変わってきます。焦らず、ご自身の体と対話するように、丁寧に行うことが何よりも大切です。痛みを感じる部分に意識を向けながら、これからご紹介する3つのポイントを念頭に置いて実践してみてください。
4.1.1 呼吸を止めずリラックスして行う
ストレッチやマッサージ中に、痛みを感じるとつい呼吸を止めて体に力が入ってしまいがちです。しかし、呼吸を止めると筋肉が緊張し、かえってリンパの流れを妨げてしまう可能性があります。深くゆっくりとした呼吸は、心と体をリラックスさせ、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。筋肉が緩むことで、圧迫されていたリンパ管が解放され、老廃物がスムーズに流れやすくなります。ケアの間は常に「鼻からゆっくり息を吸い、口から長く吐き出す」ことを意識し、リラックスした状態を保ちましょう。
4.1.2 痛気持ちいい強さで無理なく続ける
「強く押せば早く良くなるのでは」と思うかもしれませんが、それは逆効果になることがあります。強すぎる刺激は、体にとって攻撃と認識され、防御反応として筋肉を硬くしてしまいます。また、皮膚のすぐ下を流れるデリケートなリンパ管を傷つけてしまう恐れもあります。「少し痛いけれど、心地よい」と感じる「痛気持ちいい」くらいの圧が最適です。何よりも大切なのは、無理なく毎日続けられること。その日の体調に合わせて強さを加減し、習慣にすることを目標にしましょう。
4.1.3 入浴後など体が温まっているときが効果的
セルフケアを行うタイミングとして最もおすすめなのが、入浴後など体が内側から温まっているときです。体が温まると、全身の血行が促進され、筋肉や関節がしなやかになります。この状態でケアを行うと、硬くなった筋肉がほぐれやすくなり、リンパの流れをより効率的に促すことができます。シャワーだけでなく、ぬるめのお湯にゆっくり浸かって体を芯から温めるとさらに効果的です。また、軽いウォーキングなどで体がポカポカと温まった後に行うのも良いでしょう。
5. 痛い股関節を楽にするリンパストレッチ3選
滞りがちな股関節周りのリンパの流れを促すには、筋肉を動かしてポンプ作用を助けるストレッチが効果的です。ここでは、運動が苦手な方でも自宅で簡単に始められる3つのストレッチをご紹介します。無理のない範囲で、毎日の習慣に取り入れてみましょう。
5.1 寝ながらできる足パタパタストレッチ
就寝前や起床時に布団の上でできる、非常に手軽なストレッチです。股関節周りの筋肉を優しくほぐし、鼠径リンパ節に心地よい刺激を与えます。リラックスしながら行うことで、一日の緊張を和らげるのにも役立ちます。
- 仰向けに寝て、両膝を軽く立てます。
- 両足の裏を合わせ、かかとを体に引き寄せます。
- 息を吐きながら、両膝をゆっくりと外側に開いていきます。内ももが伸びているのを感じましょう。
- 無理に開こうとせず、重力に任せるようにして、蝶が羽ばたくように膝を小さく上下にパタパタと20〜30秒ほど揺らします。
- 動きを止め、ゆっくりと元の位置に膝を戻します。この一連の動作を2〜3セット繰り返します。
| ポイント | 注意点 |
|---|---|
| 深い呼吸を意識し、全身の力を抜いてリラックスして行いましょう。 | 腰が反らないように、おへそを背骨に近づける意識を持つと安定します。 |
| 内ももや股関節の伸びが「痛気持ちいい」と感じる範囲で止めます。 | 痛みや違和感が強い場合は、膝の下にクッションや丸めたタオルを置いて高さを調整してください。 |
5.2 座ったままできる股関節ゆらゆらストレッチ
デスクワークの合間やテレビを見ながらでもできる、椅子を使ったストレッチです。長時間同じ姿勢で固まりがちな股関節とお尻周りの筋肉を伸ばし、血行とリンパの流れを促します。足の付け根の重だるさを感じた時に特におすすめです。
- 椅子に浅めに腰掛け、背筋を伸ばします。
- 片方の足首を、もう片方の脚の膝の上に乗せます。数字の「4」の形を作るイメージです。
- 息を吐きながら、背筋を伸ばしたまま上半身をゆっくりと前に倒していきます。お尻の筋肉が伸びるのを感じる位置で止め、20〜30秒キープします。
- 体を起こし、乗せている脚の膝を優しく手で押さえ、ゆっくりと上下に5〜10回ほど揺らします。
- 脚を入れ替えて、反対側も同様に行います。
| ポイント | 注意点 |
|---|---|
| お尻の奥の筋肉(梨状筋など)がじんわりと伸びている感覚を意識しましょう。 | 背中が丸まらないように注意し、股関節から体を折り曲げるように倒します。 |
| 安定した椅子を使用し、転倒しないように気をつけましょう。 | 膝や股関節に強い痛みを感じる場合は、無理に行わないでください。 |
5.3 四つん這いで行う股関節回しストレッチ
股関節をダイナミックに動かすことで、関節の可動域を広げながらリンパの流れを活性化させるストレッチです。骨盤周りのインナーマッスルにも働きかけるため、股関節の安定にも繋がります。
- 肩の真下に手、股関節の真下に膝がくるように四つん這いになります。
- 片方の膝を床から少し浮かせ、胸に引き寄せるように曲げます。
- その膝で大きな円を描くように、ゆっくりと外側に回します。前回しを5〜10回行います。
- 次に、同じ脚で内側に円を描くように、後ろ回しを5〜10回行います。
- 脚を入れ替えて、反対側も同様に行います。
| ポイント | 注意点 |
|---|---|
| お腹に力を入れて体幹を安定させることで、腰の負担を減らし、股関節の動きに集中できます。 | 勢いをつけず、一つ一つの動きをコントロールしながら丁寧に行いましょう。 |
| できるだけ大きな円を描くことを意識すると、より効果的です。 | 動作中にバランスを崩したり、痛みを感じたりした場合は、円を小さくするか、中止してください。 |
6. 股関節の痛みを和らげるリンパマッサージのやり方
ストレッチで股関節周りの筋肉をほぐした後は、リンパマッサージで老廃物の排出をさらに促しましょう。リンパ液は非常にゆっくり流れているため、強い力は必要ありません。皮膚のすぐ下を流れるリンパを、優しくなでるように動かすのがポイントです。ここでは、ご自宅で簡単にできる2種類のリンパマッサージをご紹介します。
6.1 鼠径部を優しくさする基本のリンパマッサージ
まずは、リンパの最終的な出口である「鼠径リンパ節」周辺の流れをスムーズにするための準備運動のようなマッサージです。ここが詰まっていると、脚全体の老廃物がうまく排出されません。最初にこの部分をケアすることで、後に行うマッサージの効果を高めることができます。
仰向けに寝て膝を軽く立てるか、椅子に深く腰掛けてリラックスした状態で行いましょう。
| 手順 | やり方とポイント |
|---|---|
| 1. 場所の確認 | 足の付け根、Vラインの中央あたりにある、少しへこんだ部分が鼠径部です。脈拍を感じる場所の少し外側あたりを目安にしてください。 |
| 2. 優しく圧をかける | 人差し指、中指、薬指の3本の指の腹を鼠径部にそっと当てます。ごく軽い圧で、皮膚が少し動く程度の力で押さえます。 |
| 3. 円を描くように動かす | 指の腹で小さな円を描くように、ゆっくりと5回ほど回します。内回し、外回し、どちらでも構いません。 |
| 4. 中心に向かってさする | 次に、体の中心(おへその方)に向かって、指の腹で優しく5回ほどさすります。 |
このマッサージは、痛みを感じない、心地よいと感じる程度の力加減が最も重要です。鼠径部にはデリケートな組織が集まっているので、決して強く押したり揉んだりしないでください。肌の滑りが悪い場合は、お手持ちのボディクリームやオイルなどを使うと、肌への負担を減らしながらスムーズに行えます。
6.2 太ももから股関節へ老廃物を流すマッサージ
次に、太ももに溜まった老廃物や余分な水分を、鼠径リンパ節へと送り届けるマッサージです。脚全体のむくみや重だるさを感じるときに特におすすめです。椅子に座るか、床に長座して片膝を立てると行いやすいでしょう。
このマッサージは、老廃物を「運ぶ」イメージで行うのがコツです。
| 手順 | やり方とポイント |
|---|---|
| 1. 太ももを包み込む | 両手の手のひら全体で、膝の上あたりの太ももを優しく包み込むように持ちます。 |
| 2. 鼠径部へ向かってさすり上げる | 手のひらを肌に密着させたまま、膝の上から足の付け根(鼠径部)に向かって、ゆっくりと圧をかけながらさすり上げます。「溜まったものを集めて、リンパ節に流し込む」というイメージで行いましょう。 |
| 3. 太もも全体をケアする | 太ももの前面、内側、外側と、少しずつ手の位置をずらしながら、太もも全体をまんべんなく5〜10回ほどさすり上げます。特に、内ももはリンパの流れにとって大切な部分なので、より丁寧に行うと良いでしょう。 |
| 4. 反対側の脚も同様に行う | 片方の脚が終わったら、もう片方の脚も同じようにマッサージします。 |
このマッサージも、強い力は必要ありません。手のひらの温かさを感じながら、リラックスして行いましょう。ストレッチとマッサージを組み合わせることで、股関節周りのズキズキとした痛みや重だるさの緩和が期待できます。毎日の習慣として、ぜひ続けてみてください。
7. 股関節のリンパの痛みを繰り返さないための予防策
ストレッチやマッサージで股関節周りのリンパの流れを促しても、痛みの原因となる生活習慣をそのままにしていては、不調を繰り返してしまう可能性があります。ここでは、日々の暮らしの中で少し意識するだけで始められる、股関節の痛みを予防するための3つのポイントをご紹介します。つらい症状を再発させないために、生活習慣を根本から見直していきましょう。
7.1 こまめに立ち上がり同じ姿勢を避ける
デスクワークや長時間の運転、ソファでのくつろぎタイムなど、私たちは知らず知らずのうちに長時間同じ姿勢をとりがちです。特に座りっぱなしの姿勢は、股関節の付け根にある鼠径(そけい)リンパ節を圧迫し、リンパの流れを滞らせる大きな原因となります。
同じ姿勢が続くと、股関節周りの筋肉が硬くなり、筋肉の収縮によってリンパを押し流す「筋ポンプ作用」も低下してしまいます。その結果、老廃物や余分な水分が下半身に溜まりやすくなり、股関節の痛みや重だるさ、足のむくみにつながるのです。
これを防ぐためには、意識的に体を動かすことが何よりも大切です。最低でも30分から1時間に一度は立ち上がり、その場で軽く足踏みをしたり、少し歩き回ったりするだけでも効果が期待できます。また、座っている間の姿勢も重要です。足を組む癖がある方は、左右のバランスが崩れ、片方の股関節に負担が集中しやすいため見直しましょう。椅子に深く腰掛け、骨盤を立てるように意識するだけでも、鼠径部の圧迫を和らげることができます。
7.2 体を温める食事と服装を心がける
「冷えは万病のもと」と言われるように、体の冷えは血行不良を招き、リンパの流れを悪化させる要因の一つです。体が冷えると血管が収縮し、血液の流れが滞ります。リンパ管は血管に沿うように全身に張り巡らされているため、血行が悪くなると、リンパの流れもそれに伴って滞ってしまうのです。
特に下半身が冷えやすい方は、股関節周りのリンパの流れも悪化しやすいため注意が必要です。内側と外側の両方から体を温め、巡りの良い状態を保つことを心がけましょう。
7.2.1 食事で内側から温める
日々の食事に、体を温める作用のある食材を積極的に取り入れてみましょう。体を温める食材と冷やす食材の例を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
| 体を温める食材の例 | 体を冷やす傾向のある食材の例 |
|---|---|
| ショウガ、ニンニク、ネギ、ニラ、唐辛子、根菜類(ごぼう、にんじん、れんこん)、かぼちゃ、羊肉、鶏肉、サバ、アジ | 夏野菜(きゅうり、トマト、なす)、南国の果物(バナナ、パイナップル)、白砂糖、小麦粉、清涼飲料水、コーヒー |
調理法も工夫してみましょう。生で食べると体を冷やす野菜も、加熱することで性質が和らぎます。スープや煮込み料理にして、温かい状態でいただくのがおすすめです。また、冷たい飲み物やアイスクリームの摂りすぎは内臓から体を冷やしてしまうため、なるべく常温以上の飲み物を選ぶようにしましょう。
7.2.2 服装で外側から温める
服装の工夫も大切です。特に下半身を冷やさないように、腹巻きやレッグウォーマー、厚手の靴下などを活用しましょう。また、締め付けの強い下着やスキニーパンツは、鼠径部を圧迫してリンパの流れを妨げる原因になりかねません。ゆとりのあるデザインのものを選び、体を締め付けから解放してあげることも、巡りを良くするためには重要です。入浴時はシャワーだけで済ませず、湯船にゆっくりと浸かって体の芯から温まる習慣をつけることも、痛みの予防につながります。
7.3 適度な水分補給でリンパの流れを促す
リンパ液の約90%は水分で構成されています。そのため、体内の水分が不足するとリンパ液の粘度が高まり、いわゆる「ドロドロ」の状態になって流れが滞りやすくなります。リンパ液がスムーズに流れなければ、体内の老廃物や疲労物質をうまく回収・排出することができず、股関節の痛みやむくみ、全身の不調として現れることがあります。
こまめな水分補給でリンパ液をサラサラに保つことが、老廃物をスムーズに排出する鍵となります。喉が渇いたと感じる前に、意識的に水分を摂る習慣をつけましょう。
ポイントは、一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度の量を1日に何度も分けて飲むことです。一気に飲むと、体は吸収しきれずに尿として排出してしまいます。1日に1.5リットル程度を目安に、朝起きたとき、食事のとき、入浴の前後、就寝前など、タイミングを決めて飲むと習慣化しやすくなります。飲むものは、体に負担の少ない常温の水や白湯が最適です。カフェインを含むコーヒーや緑茶、アルコール類には利尿作用があるため、水分補給のつもりで飲んでいると、かえって体内の水分を失うことにもなりかねないので注意しましょう。
8. まとめ
つらい股関節の痛み、その原因はリンパの滞りかもしれません。デスクワークや運動不足で股関節周りのリンパが滞ると、ズキズキとした痛みや重だるさを引き起こすことがあります。ご紹介したストレッチやマッサージは、リンパの流れを促して症状を和らげる助けとなります。ただし、強い痛みなど気になる症状がある場合は専門家へ相談してください。日々のケアを習慣にし、生活全体を根本から見直すことで、痛みを繰り返さない体を目指しましょう。
何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。
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